子どもに「どうせお母さんには分からないよ」と言われた時の接し方

こんにちは。札幌にある「不登校のお悩み専門カウンセリングサロン ここから」です。
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突き放されたり拒絶されたようで親としてはショック

 「どうせ分からない」と言われると、親御さんとしては突き放されたり拒絶されたような思いを感じてショックを受けると思います。

 「子どものことを本当に大切に思っているのにどうしてなんだろう」「子どものためにどうしたらいいかを考え続けて育ててきたのに…」という思いがあると、より一層悲しい思いをされるでしょうし、子どもの方が親の気持ち全然分かっていないわ!と悲しみから怒りに変わってしまうこともあるかも知れません。

 「親の心子知らず」と言うことわざがあるように、親の思いというのはなかなか子どもには理解されないものですよね。

 それもそのはず。親には子どもの頃の経験があっても、子どもには親になった経験がありません。親の立場で考えるということは子どもには難しいのです。

 逆に、親が子どもに歩み寄って子どもの気持ちを考えることはできそうです。
すぐにと急かしたり、絶対にとは言いませんが、少しずつ落ち込んだ気持ちを立て直せたり、落ち着いてきたら、今度は「お子さんがなぜそう言ったのか」に視点を移してみませんか。

 というのも、「どうせ分からない!」という言葉の背景には、もしかするとお子さんが1人で抱えている気持ちがあるかも知れないからです。

もしかしたら、話したいけど話せないと思っているのかも

 「どうせ話したってお母さんには分からないよ」というのは、「だから話したくない」という思いではなくて、もしかすると「本当はお母さんに分かってほしい気持ちがあるけど、話しても分かってくれないと悲しい気持ちや辛い気持ちが余計に増してしまうから、話さないでおくよ」という気持ちを表現した言い分だったのかも知れません。

 つまり、本当はお母さんに自分の思いや気持ちを聴いてほしいと思っている可能性があります。

 しかしながら、素直に「話を聴いてほしい」と言えず、強い口調や冷たい言い方になってしまったのには理由があるでしょう。
 例えば、今お子さん自身が抱えていることがあまりにも辛すぎたり、話すのもしんどかったりと、様々な理由で親御さんに八つ当たりしたくなったのかも知れません。または強い言葉で親御さんの気を引きたくなるような精神状態にあり、「どうせ話しても分からない、無駄」と言ったような強い口調で表現した可能性もあります。

 また、お子さん自身が、「自分の親は自分の気持ちを分かってくれない」と感じる理由にはいくつかの種類の要因があるでしょう。

  • 母親は不登校やいじめ、成績不振など今自分が悩んでいることを経験したことがないだろうから、自分の気持ちが理解できないだろうと考えている
  • 自分は何かと気にしやすかったり考えすぎることが多い性格だが、母親はポジティブで楽観的だったりと自分とは正反対の性格なので、自分の気持ちは理解できないだろうと考えている
  • 今まで自分の気持ちを話した時に、期待していた返答と全然違うことを言われたので、きっと理解できないんだと諦めている

 など、様々な要因が予測できます。

解決策、適切な言葉がけ

 では、お子さんに「どうせ話しても分からないよ」と言われた時には、どのような接し方をするのが良いのでしょうか。
 理想的には、やはりお子さんが今1人で抱えている気持ちを話してもらって、親子で共有することによってできる対策や問題解決もあるでしょうから、お子さんの口から本音を話してもらえるのが良いでしょう。

 ただ、「そんなこと言ったって、そもそも話してくれないと分からないじゃない!」と親の方も強い口調で返してしまったり、「じゃあもう話聴かないわ」と子どもが謝ってくることを期待するように相手の出方を試すような態度をとってしまうと、ますます子どもは心を閉ざして本音を話せなくなってしまいます。

 できるだけ、以下のように子どもの心に寄り添った言葉がけができると良いでしょう。

  • 「確かに全部は理解できないかも知れないけど、少しでも理解できるようになりたいと思っているよ」と伝える
  • 「確かにあなたの気持ちを全部は分からないかも知れないけど、これからどうしたら良さそうか一緒に考えたり、少しでもあなたが楽になれるように手伝いたいと思っているよ」と伝える
  • 「今まで無自覚にあなたのことを傷つけていたのかも知れないね。お母さんも直せるところは直したいから、どういう時に自分の気持ちを理解してもらっていないと感じるのか教えてほしいな。」と伝え、できるだけ言われた態度や行動をしないように努力する姿を子どもに見せる。間違ってしてしまった時には、「嫌だったね。ごめん。」と伝える

 そのような言葉がけをした時には、子どもは心の安全が満たされますので、それまでは辛い思いでいっぱいで自分の心を守ることで精一杯だったために強く冷たい口調で話していたとしても、少し冷静になることができ、「自分のあの態度も良くなかったな」「お母さんは悪くなくて、自分がイライラしていただけかも知れないな」と気づくことにつながる場合もあります。

 良好な親子関係は、子どもが親の顔色を伺うばかりでも実現しませんし、親が子どもの顔色を伺うばかりでも実現しません。お互いが歩み寄るためにも、できるだけ温かな言葉から状況を変え、冷静になることが大切です。

理解しようとすればするほど、理解できなくなる

 また、子どもの話や気持ちを細かく、詳しく理解しようとすればするほど、子どもの考えていることとズレてしまいやすくなり、結果的に「やっぱり分かってくれない」ということにつながりかねませんので注意が必要です。

 どういうことかと言うと、詳しく考えれば考えるほど、お互いの頭の中で思い浮かべているものに相違が生まれやすくなるということです。

 例えば、親御さんとお子さんに同時に「車を思い浮かべてください」と伝えたら、きっと車をイメージできると思います。
 それは、実際に普段使っている自家用車かも知れませんし、車の絵文字やイラストのようなゆるい形のものを思い浮かべるかも知れません。
 その時、頭に思い浮かべているものはお互いに車であることは確かですが、それが赤い車なのか白なのか、青なのか、一般的な乗用車なのか、消防車やパトカーのような緊急車両なのか、写真のように鮮明に思い浮かべているのか、イラストや絵文字のように抽象化されたイメージなのか、そういった違いが出てきます。つまり、親子であっても全く同じ車を同じように思い浮かべることはできないのです。

 感情についても同じです。辛かった、悲しかったという大枠での感情はイメージできても、どんな辛さだったのか、どうして悲しかったのかというのは親子であっても全く同じ感情にはなれないのです。

 ですから、話を聴く時は、細かく理解しようとして「そうか、〜で辛かったんだね」や「それはとても辛かったね」と言ったように理由や程度までつけてしまうと「いや、それもあるけどそれが1番の理由じゃない」とか「辛いは辛かったけど、そこまでではない」と言ったようにズレが生まれてきてしまいます。

 そのズレを防ぐためには、大枠で話を捉えて「辛かったんだね」「悲しかったんだね」「それは嬉しかったね」「よかったね」「安心したね」など、大枠の感情に寄り添った言葉がけをすると良いでしょう。

 とは言え、そういった寄り添った言葉がけは、親御さん自身の心の余裕がある時でないと難しいかと思います。親御さんご自身の辛いことや悲しかったことなどをカウンセリングの場で吐き出して、スッキリしていただくお手伝いができましたら幸いです。

心理カウンセリング/60分:5,000円(税込5,500円) 90分:6,000円(税込6,600円)
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